一日一善

仲間と夕飯を食いに大学の外に出たらすぐの所で携帯を拾った。
ふと、2年前のことを思い出した。
 

 
2年前、オレと(当時の)彼女は同じ道を走っていた。
彼女と手を繋いで、急いで。彼女の門限が迫っていたためだ。
走りながらはしゃいで、楽しくてまたスピードアップ。
その時にはオレはもう成人になってたんだけど子供みたいに無邪気だった。
彼女を送ってしばらくしてメールでも打とうとしたらポケットに携帯はなかった。
走っている途中に落としたらしい。
公衆電話からかけたオレの携帯からの声は警備のおっさんの声だった。
誰かが大学の警備員まで届けてくれたらしい。
…係わり合いにならないのが一番楽そうなものなのに。
…悪用するんならいくらでも悪用できそうなものなのに。
嬉しかった。この街の人の善意が。

 
 
だからオレは今日携帯を拾った時、絶対届けようと思った。
あの時のお礼は、行動で示す。
オレの偽善に付き合ってくれた仲間たち。ありがとう。