中島敦に足を踏み入れてみた

gepの通勤時間暇だから文学を読んでみようシリーズ第3弾。

中島敦スペック
・1909〜1942
・漢学に造詣が深い。

山月記・李陵 (集英社文庫)

山月記・李陵 (集英社文庫)

本全体の1/4以上は脚注・解説。
何しろ著者は漢学に造詣が深い。漢文を読み下したような文章多し。
読書中はしおりを脚注のところにはさんでおいて、本文を読みながら脚注を見る。
途中どっちがメインがわからなくなることもあったとかないとか。
表題作で代表作の「山月記」は漢詩にハマりすぎた李さんが虎になってしまう話。
ものすごく情緒的。ロマンチシズムとサンチマンタリスムに満ち満ちていた。いい。
教科書に取り上げられることが多いらしいけど、自分は記憶にない。載っていたのかすらまったく。
受動的な学習なんてそんなもんだよね(*´ー`)
 
他にも孔子の弟子・子路が主人公の「弟子」や、もう一つの表題作「李陵」などが収められていた。
二千年とか前の話なのに、よくここまで調べ、妄想して描いたものだと思った。
全体を通して見たこともないような表現が多く、そっち方面も興味深かった。
ちなみに林望氏の解説が型破りでやけに面白い。
 
母親は「山月記のテーマは病める現代の日本人だよね」とメールに書いてよこしたけど、今の僕には理解できない。
「オレはむしろあそこまで一つのことに執心できるかと、問われた気がした」と等身大な返信をした。

 
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