君はシャイ且つクール。

帰りの地下鉄は、乗る駅がいいらしく大概座れる。
車内はいつもの混雑。
圏外になった携帯をかたりと閉じた。
するとオレの斜め下を向いた視界に一切れの紙が差し出された。
アットマーク入りの英数字の羅列。
なんだと思い手の先の人の顔をばっと見ると、やはりこちらを見ていて目が合った。
なんとなく受け取ると、彼女は何も言わず電車を降りた。
なんだ、じゃない。
決まっているじゃないか。
学生時代を思い出す。
それはそれはどきどきした。
授業中によくやったものだ。
次の人に回せばいいんだよね?
オレは乗り換えた電車で、降りる直前に、前に座る若い女性に紙片を手渡した。
という妄想。
妄想を妄想で打ち消す。
オレは孤高のレジスタンス。
ごめんなさい。