ハードカバーで乾杯

誰かが言ったのか書いたのか、もともとあった文化なのか、はたまたオレの内側からにじみ出たものなのか定かではないけど、憧れていることがある。
それは「ハードカバーで乾杯」することだ。

今日はオレと彼女が二人して好きな作家の新作発売日。
一冊買って順番に読めばいいのに、どちらかが先んじる(もしくは後れをとる)のをよしとしないひねくれブルジョアジーな二人。
書店で二人とも同じハードカバーを買い求め、今は帰りの電車の中で隣同士に座っている。
オレ「待ちに待ったぜ…!」
彼女「私たち連載は読まない派だからねぇ」
オレ「あたぼうよ。次が出るまでの一週間どんな思いで仕事をしろってんだ。できるかして。」
彼女「あはは。何はともあれ、新刊おめでとう〜」
オレ「ああ、おめでとう」
コン。
二人は背表紙を軽く付き合わせ、新刊の1ページ目をめくる。