続きは読まないでください。

小中高、そして大学。
ずっと親の脛をかじってここまで暮らしてきた。
若干過保護気味な両親は何かにつけてオレに
いつも不自由な思いをさせないようにしてくれた。
着る服も
読みたい本も
一人暮らしの家具も
ぜんぶ。

 
 
でもオレは、ずうっと無関心だった。
こんなにも大事にしてくれる親に。
してくれるのが当たり前。
そうするのも親のエゴ。なんて思って。
 
 
そんなオレももうすぐ就職。
実家とは数百キロ離れた東京の会社に決まった。
兄貴はもう東京で働いているからオレもいなければ実家は。
 
 
もちろん就職活動する時に考えもした。
「実家帰らなくてもいいのかな」と。
でも両親は言ってくれた。
いつでもオレが分岐点に立ったときには言ってくれていた言葉。

 
「おまえのやりたいようにやれ。」

 
言われるまでもない、とその時は思ったけど
息子に帰ってきて欲しいって思わない親なんていないよな。
今になって考える。
どういう気持ちでその言葉を言ってくれたのか。
オレが
「実家、年寄りばっかりになっちゃうな」
って言った時、おふくろ、こう言ってくれた。
「きっと兄ちゃんがいつか帰ってくるから心配すんな!」
オレの妄想だけどさ、
それ、きっと兄貴にも同じこと言ってるんだろ?
 
 
今のオレの不安はちゃんと両親に親孝行できるのか。
今まで育ててくれた分、ちゃんと感謝で返せるのか。
もうちょっと地元でしっかり働き口探せばよかったな。
でもチャンスがあれば県内に戻るよ。
いっぱい働いて技術身に付けて偉くなって
ビッグになって親会社に入って
フリーエージェントで帰ってくるから。
絶対親孝行するから。
 
 
おやじ、おふくろ、ホントにありがとう。
酔ったとしても中々言えないけど、今はホントに感謝してるんだ。
こんなにも自由を与えてくれて。
いくら言っても足りない言葉はいつ言えるのかわからないからここで。
ありがとう。
ありがとう。
ありがとう。
絶対いつかこの口で伝えるから。