サイコメトリ

図書館にいた。
明かりは暖色系で薄暗い。
ふと目の前にあった書棚に手を伸ばした。
本と本の間にレポート用紙が挟まっていた。
 

(なんだろう。)

 
見てみるとそれはどうやら昔の学生の卒論の下書き。
四半世紀ほど前のものだった。
それは視覚で得た情報。
しかし触れた瞬間に既に流れ込んできていた。
苦悩した日々の感情や記憶の情報。
 

(そうか。そうだよな。)

 
誰でも卒論は苦しい。
昔もそして今でも。
オレだけが悩んで苦しんでいるわけじゃない。
それを伝えたかったのかな。
レポート用紙の彼は。
 

そんなのとうにわかってたけどね。
だから他人と比べてしまうんだよ。
自分の努力の程度を。