byebye,flower

花が咲いた。
草ばかりの空き地に花が咲いた。
その花はやけに長生きだった。
いくつかの季節を過ぎてもきれいに咲いていた。
時には春風で笑うように。
時には秋雨に震えながら。
その間どの間だって花は咲き続けた。


 
数年が経った。
力強かったあの頃の生気はない。
しかしまだ花は咲いていた。
いつからか花の周りはにぎわっていた。
主役の交代を思わせるいくつかの別のつぼみ。
その中でもしおらしく花は咲いていた。


 
どれだけ経ったかわからない。
花はゆっくり痩せた。
違いがわからないぐらい、ゆっくりと。
こうべが垂れ、それがついに地面に届いた時、
ようやく僕にもわかった。
花は枯れた。

 


次の主役が現れることはなかった。
どういうわけか、つぼみも枯れた。
そして空き地は以前の姿に戻った。
寂しさはある。
でも納得していた。
つぼみはフェイク。
花は一輪しか咲き得ない。
咲いてる間は気付かなかったけど。