(7)若い夢だった。

修学旅行中。
休憩がてら、バスはサービスエリアに停まった。
同じクラスの奴らはお土産を見たり、だべったり…思い思いに過ごしていた。
オレは我慢していたトイレへ。
時間は10分程度しか設けられていない。
急がねば。
 


 
トイレには先客がいた。
クラスのちょっと悪いキャラの奴・Iだ。
そいつがオレに話しかける。
I「俺、ここでフけちまうから」
おいおいおい帰れなくなるぞと思ったが言うより先に奴はどこかへいってしまった。

 


用を足して外に出ると、他の女子高の集団に出くわした。
その中の一人がオレに言う。
 


女子「バス、出ちゃいますよ!急いで!」
オレ「あ、うんありがとう」



そう言ってバスに向かおうとしたら、その子がオレを引き止め、目を合わせて言った。

 

女子「思いよ届け☆」

 
 

意味がわからない。
でも急がなきゃ。

 

 
車内に戻ると、どうやらオレは一番遅かったらしい。
残りの席は一つだけだった。
しかし、その隣は…オレの好きな子が座っていた。

  
 
「I君がゆずってくれたんだよ、キャー(〃▽〃)」
「ひゅーひゅー」
 
 

クラスの野次とかざわつきとかが二人を包んだ。
オレはうつむいた。
顔が真っ赤になるのがわかったから。

 
(了)